官民一体で、豊川市牛久保町で防災のための整備事業を進める「牛久保安心・安全なまちづくり協議会」（柴田勝会長）が、「牛久保防災まち歩きマップ」を作成した。住民の視点で防災上の問題箇所などが抽出され、熊本地震で倒壊や延焼拡大の被害が出た中、他の地区のモデルケースとして活用が期待される。
（由本裕貴）

　昨年１２月、地元小学生らを含む地域住民ら７１人が「まち歩き調査」を実施。岸組、常盤、八幡口地内など、６６２棟もの木造建築が密集し、道幅も狭い約１５万平方メートルのエリアを歩いて調査し、これを基に
防災マップを作った。
　「問題となるところ」として、避難経路においてブロック塀倒壊の恐れや、電柱のはみ出し、道幅が狭い、歩道がないなどの場所を写真と地図で表示。
　一方、「良いところ」として避難スペースとなる公園や、防火水槽や消火器などの消防・防火設備、延焼防止に役立つ生け垣なども紹介している。塀を新しくする、街灯をＬＥＤにするなどの「これからの理想」も記された。
　この防災マップは牛久保地区の全１４００世帯に配布される予定で、牛久保公民館や市庁舎でも配布。マップの作り方も掲載されており、建設部都市計画課の担当者も「住民目線による地域独自のまちの現状を改めて発見できた。他の地域でも参考にしてほしい」と話す。
　牛久保地区は地震や火災発生時、延焼防止や避難に必要な防災機能が確保されていない「密集市街地」。町内会、豊橋技術科学大学、ＮＰＯ法人・東三河ハートネット、市の４者が連携して同地区の市街地整備事業を展開し、これまでに３回のワークショップを開いた。