介護業界の人手不足が深刻化し、豊橋市内でも職員が確保できず開設を延期したり、施設を一部閉めたりする事態が起きている。こうした中、ＥＰＡ（経済連携協定）で来日した介護福祉士候補生だけでなく、地元の工場で派遣社員として働いてきた日系ブラジル人やペルー人ら外国人が介護の現場で活躍している。ただ、言葉や資格取得支援などに壁もある。新たな担い手となる救世主になれるか―。
（飯塚雪）

　「奥さん、全部食べられたよ。えらいね」。高齢者女性の手を優しくなで、ほほ笑みながら食事の介助をするのはペルー人のカルデロン・メシアス・ルツさん（５０）＝豊橋市町畑町。部品製造工場などで働いていたが、今年５月から週６日、市内の高齢者向け賃貸住宅で働く。利用者の食事、入浴の介助をスムーズにこなしている。
　来日１８年、ペルーでは幼稚園教諭だったが、日本では資格の取得が難しく、長年、ホテルの清掃や皿洗い、工場の仕事に就いてきた。
　「部品作りはロボットになった気分になる。人と関わる仕事がしたかった」とルツさん。老人ホームを見学に訪れた際、幼稚園教諭と似ている介護現場に興味を持った。
　給料は以前に比べ少し下がったものの、「この仕事が本当に好き。誰かが助けてあげないといけないし、利用者さんが子どもみたいでかわいい」と笑顔で仕事に励む。
　経営しているのは「ｒｅｆｉｎｅ」とグループ会社「ｒｅｌｉａｂｌｅ」。市内で高齢者向け賃貸住宅３棟を営み、現在、約１００人のスタッフのうち３人が外国人。人材不足で４年ほど前から採用を始めた。
　住宅の管理者は「言葉が分からない部分もあるが、介護は人と人の信頼関係が大事。国籍は関係ない」と受け入れに積極的だ。パート職員として働くルツさんだが、フルタイムで働ければ正社員に登用される。