豊川市の２０１６（平成２８）年は、経済の行方を左右する重要な年となりそうだ。大企業の撤退が決まり、跡地利用が課題となっている白鳥町の約２２ヘクタールの土地には、外国企業が進出する可能性も出てきている。大木地区に続く新たな企業用地の開発事業も本格的にスタートする見通しだ。
（由本裕貴）

　２０１８年７月までに生産を終了し、完全撤退するスズキ豊川工場の跡地については、すでに複数の企業から進出に向けた話が来ている。国内だけでなく、海外を拠点に置く企業の動きもあり、市とスズキは意見を交わしながら企業の選定を進めている。
　一方、今年３月までに撤退する日立ターミナルメカトロニクス豊川事業所の跡地には、現時点で進出に名乗りを挙げている企業がない。このため、市が一度買い取り、その後の動向を見極めながら、市民が交流できる公共施設の建設も視野に入れている。
　両社合わせて年間２億円以上の税収があり、跡地利用は市の財政にとって大きな問題だ。すぐ近くに市民病院があることから、環境面に配慮し、これまでの製造業ではなく流通業の企業の誘致を推す声もある。近年国内では大型倉庫店コストコや家具量販店イケアなどが進出しており、こういった外国企業なら大量消費と大規模な雇用が期待できる。
　また、市は全６区画（約９ヘクタール）の分譲が完了した大木地区に続く、新たな企業用地の開発を計画している。物流や通勤に考慮し、比較的市街地に近い場所を中心に選定を進めており、３月までに候補地を絞り込む予定だ。
　子どもたちにとってもうれしい年となりそうだ。３期目をスタートした山脇実市長は、任期中に全小中学校の普通教室にエアコンの完備を約束した。まずは高校受験を控えた生徒が勉強に集中できるよう、中学校から整備する方針だ。