豊橋駅近くの穂の国とよはし芸術劇場プラット南側に豊橋市が整備した「防災ひろば」が１６日、オープンした。大地震など災害時、公共交通機関の運行停止などで駅周辺に滞留する帰宅困難者らの一時支援施設となる。この日は完成記念式典が現地であり、式後、住民らが防災機能を見学した。
（中村晋也）

　防災ひろばは、敷地面積が１７００平方メートル。防災備蓄倉庫（鉄骨造り平屋建て延べ１９７平方メートル）を建設したほか、非常時、調理に利用できる「かまどベンチ」３基や、マンホールトイレ５基を配置した。
　かまどベンチは、上部の座席部分を取り外すと、鍋などが置け、火がたける。マンホールトイレも備蓄倉庫にある工具でふたを開け、ここに簡易トイレが設営でき、非常時に利用できるようにしている。
　倉庫には太陽光発電システム（１１キロワット）と蓄電池を備え、屋外照明灯はこの蓄電池を活用。年間を通じて花を咲かせ、平常時は憩いの場として開放される。事業費は１億８２３万１０００円。
　市の南海トラフ地震被害予測調査によると、昼に地震が発生した場合、豊橋駅周辺の帰宅困難者は５３００～６１００人に上る。
　市は、駅周辺に滞った帰宅困難者を支援するため、こども未来館ここにことプラットの２カ所を「帰宅困難者等支援施設」に指定している。
　大地震発生直後や、東海地震警戒宣言が発令された際の公共交通機関の運行停止時には、市内外の多くの人が被災したり、行き場に困ったりする可能性がある。防災ひろばを南口駅前広場と共に一時受け入れ先とし、支援施設への振り分けや自力で帰宅できる人への支援などの対応を取る。
　完成式典には、住民やくるみ保育園児らも出席。佐原光一市長は「鉄道やバスがとまった場合、いざという時の安心の場となり、プラットと共に利用してもらう。ひろばの存在を知ってもらうことも大事」とあいさつした。