新城市議会で議員同士による政治倫理審査の請求が頻発している。今年に入り、すでに４人に対して請求が出されており、市議会は審査会を開くことを決めている。同市の政治倫理条例は、議員による請求がしやすく、請求があれば審査会を設置しなければならない。請求の中には政倫審で問う内容にそぐわないものもあり、今後、条例の見直しも必要になりそうだ。
（川口直康）

　同市の市議会議員政治倫理条例は２０１３（平成２５）年３月に施行。１５条で構成され、議員の責務や政治倫理の順守などのほか、政治倫理に違反があると疑われる場合は、政治倫理審査会を開くことができると定めている。
　第５、６条は審査の請求や審査会の設置について規定している。議員が審査請求する場合は、議員２人以上の連署があれば可能。また、審査請求があった場合、請求がどんな内容でも審査会を開かなければならないとしており、審査をすることが前提になっている。
　これまで、２０１４（平成２６）年に１人への請求があっただけだが、今年はすでに４人とハイペース。１月１８日に山崎祐一氏への請求を皮切りに、２月２２日に白井倫啓氏と加藤芳夫氏へ、３月１５日に打桐厚史氏へと続いている。
　打桐氏への請求を除く３件は穂積亮次市長のリコール（解職請求）運動に関連している。対立する市民団体に所属していた議員らが、リコール運動中、互いが発行した会報などによって、名誉を傷つけられたとして、双方が請求し合っている。
　同市議会事務局によると、東三河で政治倫理審査の請求がこれだけ頻発していることは聞いたことがないという。事務局は「議員の資質に関わることで、本来、審査請求自体あってはならない」と話す。
　下江洋行議長は「今回の一連の請求は政治運動の延長線上にあると思うが、これだけ多いと市民から議会の不信感につながる」と指摘し、「条例を検証し見直す段階にきている」と述べた。
　白井、加藤両氏に請求した柴田賢治郎市議は「これまでは一部の議員が独占して請求をする形になっていたにすぎず、自分たちが請求を遠慮するのは変だと思う」と語った。