少子高齢化が著しい奥三河の４市町村。高齢化率は新城市では地区によって４割近くに上り、設楽町、東栄町、豊根村では５割に迫る勢いだ。「災害弱者」とされる高齢者への援護態勢をどのように築くのか。各自治体の防災担当者は頭を悩ませている。
（川口直康）

　新城市は独居や老々世帯の高齢者のほかに、身体・精神障害者を含めた要援護者名簿を作成し、各地区の区長が管理している。発災直後は名簿を基に、近所の住民らによる救護活動が望まれる。
　同市防災安全課の担当者は「現在では具体的な対策を立てるのは難しい。近所で互いに助け合うなど、まずは地区の中でやりくりしてもらうようになる」と地域住民の協力を訴える。
　その一方、「助けてもらう側だけでなく、助ける側も高齢化が進んでいる。『老老介護』のようなイメージ」と明かす。つまり、住民同士による十分な救護活動ができないことも予想されるのだ。
　これは、高齢化が著しい３町村では特に顕著になってくる。３町村でも要援護者名簿の作成や老人ホームなどとの福祉避難所の協定締結を進めているが、具体的な対策は見いだせず、対応に苦慮しているのが現状だ。
　また、地理的に山が多い土地柄のため、土砂災害などによって道路が寸断され、孤立集落が生まれる可能性もある。新城市では８９カ所、東栄町では１５カ所あるとされ、設楽町、豊根村では数は不明だが、孤立地域が出てくる見込みだ。
　新城市は対策として孤立可能性集落に複数のヘリポートを設置している。３町村にもあるが、孤立集落対策というより、平時での急病人などの救急搬送を目的とする意味合いが強く、街の中心部に集中している自治体もある。
　３町村は、孤立した場合に備えて、各家庭に食料や飲料水の備蓄を増やしてもらうことなどを訴えている。